往西俊治のブログ

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自らが招いた"インフレ"

インフレインフレ北米、欧州はうるさいのですが、そもそも彼らは過剰な現金給付を数年に渡って政府から受けており、私からすれば「政府から無料でもらったそのお金はどうしたのですか?」と言ってあげたい。

"インフレならば、当時、政府から支給されたお金を使えばいいのに。"

東アジアの国では考えられないのですが、北米、欧州勢は銀行口座を所有している子供以外の人間全員に無条件で(失業の有無、就業の有無、年齢如何及び年収の高低を問わず)過剰な現金給付を行いました。さらには、子持ち家庭には多過ぎるほどの子供手当までも支給し、加えて失業者には手厚い失業手当まで支給しました。

この結果、起こったことが"インフレ"です。

米国のM2というマネーの総量(個人、法人が保有するマネーの貯蓄量)が2020年より直角にいわゆるスカイロケットのような異常な形状にて上昇したのであり、あのチャートをリアルタイムで実際に見ている人間は、その副作用が数年後に訪れるということは容易に推測することが可能だったわけです。

 


↑M2


マネープリンティングしたからと言って、インフレになるとは言えませんが、マネープリンティングしたお金が個人、法人に行き渡れば、彼らはモノを爆買いするでしょう。
株式、デリバティブ市場へも投機するでしょう。
そうすると、需要、供給の関係で需要過剰になり、供給過少になり、モノが不足します。
インフレの教科書的なメカニズム通りの顛末です。

2022年に発生したある国とある国の紛争等はインフレの直接的原因ではなく、既に惹起されたインフレに拍車をかけた程度でしかありません。
それは2020年度末から先物価格が爆上げしていたことから明らかで、先物価格が上がれば、タイムラグを置く形で卸売物価指数は上昇するのは誰でにでも理解できる話です。

そして、卸売物価指数はさらにタイムラグを置く形で消費者物価指数に転嫁されます。

 


↑大豆先物価格は2020年度末に既に直近の高値を更新


結論を言えば、今のインフレは世界中の、特に西洋系人間が"総穀潰し化"した結果だといえます。
それでいて、彼らは自分のところの政府を痛烈に非難しています。
であれば、何故彼らは現金給付案を支持したのでしょうか?それは、天に唾を吐いて、自分の顔に唾がかかり怒っているのと同じくらい滑稽な話です。

政府も政府で失業したり、経済的状況が極めて悪い個人、法人にのみ現金給付をすれば良かったのですが、何をとち狂ったか、国民全員に現金給付してしまったわけです。
(これはグレートリセットを目論んだ意図的なモノなのでしょう)

ところで、マキャベリ君主論は名著で、一般大衆の本質的性質を高度なレベルで看破しています。ルネサンス期に書かれた大昔の本ですが、今現在にも大いに通づるところがあり、私が読んできた本の中でも傑出した内容の書物となっています。

一言で要約すれば、人間とは、損得勘定に塗れた極めてご都合主義な性質を示す生き物だということが君主側の立場に立ちながら事細かく書かれています。性善説性悪説の如何を問わず、人間の本質を描くこと自体には完全に成功していると言えるでしょう。