往西俊治のブログ

思ったことを書く

商品市況を見ていると株価下落規模の見当がつくという話

米国株がそれなりに急落していますが、こうした急落を事前にある程度見抜く簡単な方法があります。

通常、株と商品は、株が売られると、商品(エネルギー、註1非鉄金属、註2鉄金属、農作物等※以下省略)は上昇する。
株が買われると、商品は下降するという逆相関の関係にあります。


註1:非鉄金属のうち銅のみは例外的に株と連動した動きをする傾向にあります
註2:また鉄金属(鉄鉱石)は株と連動しやすいです
銅と鉄鉱石は除外してみるのが基本ですが、特に銅は後述するように株の急落を事前に見抜くのに非常に役立つツールとして機能します

ところが、値幅調整を超えるそれなりの暴落が起きるときは、株も商品も"同時に"売られます。

ですから、日経やダウ、ナスダック、SP500等の株価指数が落ちて、それがただの値幅調整の規模の下落なのか、値幅調整を超える(それなりの)暴落なのかは商品市況を見ているとよくわかります。

商品も全面的に大きく下落し、株も下落している場合は値幅調整の域を超える下落すなわち暴落である場合が殆どなのです。
(2022年4月22日金曜日の米国株の下落では事前に商品が全面的に売られていました。今年の2月か3月頃の日経平均が2万5000円を割り込んだ下落の時もそうでした)

株は落ちているが、商品は大して下げていなかったり、むしろ上がっている場合は多くの場合、値幅調整の下落の場合が殆どです。


他に、私が重視している方法に銅の値動きがあります。
大幅な株の下落が起きる場合、銅が株の暴落の数営業日前か当日に”事前に”数%規模で下落する傾向にあります。(数週間から数か月のタイムラグをつけるケースもあります*)

*https://www.dlri.co.jp/pdf/macro/2019/fuji20200228mf.pdf


ハイイールド債等と同様に銅も炭鉱のカナリヤのわけで、株の暴落を事前に予見するためにも日々の銅の価格の観察は必須だと捉えています。

銅は工業用途で最も使用される金属のひとつなので景気(≒企業業績)に極度に敏感に反応するわけです。

銅は"どう"でも良い存在では決してありません。

 

追記:
今週末金曜日の米国株の1000$に迫る下落が今後深堀りの世界同時株安などの大暴落につながるかどうかは今の所、不明です。

(今年は日米ともにグロース株には厳しい年になり、各指数の寄与率がこれらの株は相当大きいため、各指数は上値が抑えられた下降トレンドを描くということは言うことができます)

今年は、米株のSP500で言えば20%規模の下落で終わるのではないかとみています。
SP500の20%規模の下落と言えば約3800$近辺までの下落です。
確たる根拠を私はある程度持っているのですが、自分の手の内をわざわざ明かすつもりはありませんのでこのブログには無記とします。

他方、本年度のインフレは上海のロックダウンや紛争、それらに起因(正しくは拍車をかけられた)する肥料価格の高騰、通貨安のダブルパンチによる農作物の高騰等も手伝って治まる気配はありませんので、FRBのQTは無駄だと見ており(途中にコアCPIのようなインチキ統計を用いて"改善している"と主張する蓋然性は高いが)、インフレはますます亢進していき、最終的には商品が強い相場が続くと睨んでいます。

商品先物の各限月の価格間でバックワーデーション(逆鞘)という期近が期先の価格より高くなる現象が起こっており、これは需要が極度にひっ迫していることを一般に意味しますが、バックワーデーション(逆鞘)は異例であり、通常はコンタンゴ(純鞘)になります。コンタンゴが通常である理由は、期先であればあるほど商品の保管コスト(繰越費用)等が嵩むので割高になると考えると容易に理解できます。

なお、これを言っては元も子もなくなることを承知で敢えて主唱しますが、以前の記事から既に述べている通り、既に今現在は投資で儲けるだとかそういうことを言っている状況ではなくなっています。
私が別名義での商業用のYouTubeアカウントに動画をここのところ長らく投稿していないのはそのためもあります。
この状況下で、自分のビジネスのことを未だに考えている人は危機感があまりにも欠如しています。

例えば、焼夷弾が降っているのに、自分の銭勘定に右往左往している人は確実に逃げ遅れます。

そういう人は当記事の本題である商品市況(エネルギー、非鉄金属、鉄金属、農作物等)を見ることをおススメします。
どれだけ深刻な事態にあるかどうか理解できるはずです。